横浜市の古民家カウンセリングスペース

山手カウンセリングルーム

当ルームの特色

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主宰者からのごあいさつ

精神分析という言葉には、なんとなく秘密めいた(怪しげな?)響きがあるのではないかと思います。分析者がご相談にいらしたクライエントに対し、独りで分析して解釈してゆくような、あるいは一方的に深層心理を解き明かしてゆくような、はたまたEBP(Evidence Based Practice)の時流から取り残された、前世紀的で古めかしいイメージ。
こうした誤解の原因として、精神分析といってもいろいろな学派があり、一概に語りにくいこと、そして多くの分析セッションがクライエントの深いところに触れてゆく方法だけに、理解されにくいといったこと、何よりも深いこころの奥底のことがらゆえ、クライエントのプライバシーを守るために、一般的にわかりやすい説明がなされてこなかった、ということがあるかもしれません。何よりも精神分析の効果というのは、統計学的数値ではあらわせない、分析家が関わったお一人おひとりの心的内実の理解と変化や成長こそが証左となるものですし。
しかしながら理論的背景は異なったとしても、分析家一人ひとり、セッションでの対話を通じて、クライエントの奥底にあって生きることを難しくしている、こころの声や痛み、苦しみ、叫びにまで耳を傾け、理解することに己の実存をかけて取り組んでゆくプロセスであるというということはいえると思います。
そうした意味でとらえるならば、精神分析のセッションも、一般的なカウンセリングのセッションも、実はそれほど大きく異なるものではないように思われます。訓練された心理臨床家であれば、常に己を省み、クライエントの言葉によって生じるこころの動きに目をこらし、その中で生まれてくる魂のともゆれを一緒に味わい、そこから言葉を紡ぎだしてゆくでしょうから。
あえて一般的なカウンセリングとの違いをあげるとすれば、その方が直面している問題に対して、どの深さで関わるか、ということかもしれません。とはいえ、それはあくまでもクライエントが希望し理解可能な範囲で、ということであり、分析家が一方的にどこまで介入するかを決めるものではありません。そうした見地から、私どものカウンセリングルームでは、おいでになる方のご希望を伺い、現在おかかりの先生のご意見も伺いつつ、来談者中心のカウンセリングや1回のみのコンサルテーション的な面接、あるいは毎週ではなく、隔週や月に1回といった面接へのご要望にもお応えしております。
精神分析的心理療法で何を得られるか、ということですが、究極のところ、安全かつ安心できる環境の中でその方を抱え、対話を通して、ご相談者様自身がご自身を苦しめ、不安にし、生きがたくしているものへの「こころの眼差し」を育て、身につけることによって、それらに支配されないご自身を育むということだろうと思います。一度、そうした「こころの眼差し」を身につけられるならば、現在直面している問題だけではなく、おそらく生きてゆく中で折々に直面される問題についても、ご自身で対処してゆくことができるでしょう。
精神分析を日本的文化や文脈の中でどうとらえるか…ということについていろいろな見解があるように思いますが、私は最近「武士道」「茶道」などの「道(どう)」にたとえて説明させていただいております。武士は刀を置いてくつろいでいても、常に心構えとして武士であるということは揺るぎませんし、おそらく茶道家も日常生活の中であっても、おのずと茶道で培った所作が生きているかと思います。それと同じように、精神分析もそれぞれの方の実存と結びつくとき、生涯にわたってその方を支え活かすものになると思っております。
地域に根差しつつプライバシーを確保すること、温かい家庭的な環境と治療構造の両立、戸建ての日本家屋(古民家)での精神分析的心理療法、安全で守られた空間と自然環境をとりいれた臨床…。最初は同業のお仲間からも「どんな感じなのですか?」と尋ねられたほどユニークな環境と活動ですが、年月を経て、次第にオリジナルな臨床実践としての形ができてきたように思います。
自然の中で、人は安らぎ、癒やされます。横浜の緑の丘にたたずむ小さな隠れ家のような古民家が、生きることに疲れを感じておられる方、現在や過去の苦しい経験に苦しんでいらっしゃる方々を、自然の緑の中で、そっと支える「こころの庵」となるよう祈念しております。

山手カウンセリングルーム


カウンセラー

横尾 久美子

Yokoh, Kumiko:B.D.、M.A.、MSW
公認心理師 登録番号:第2616号
臨床心理士 登録番号:第7513号
精神保健福祉士 登録番号:第19号
上智大学大学院文学研究科教育学専攻心理コース(現:臨床心理学専攻)博士前期課程修了(1991年、文学修士)
ルーテル学院大学大学院人間福祉学研究科社会福祉学専攻修士課程修了(2005年、修士:社会福祉学)
聖路加国際病院等、複数の医療機関にて研修を受け、精神科病院に臨床心理士として約7年勤務。また福祉系・医療系専門学校にて心理学・精神保健学・精神看護援助論・精神保健福祉援助技術などを約20年講じ、2006年から2010年まで新潟青陵大学福祉心理学科准教授、日本歯科大学新潟生命歯学部非常勤講師として臨床心理学演習、精神保健福祉学、青年心理学などの諸科目を講じる。
2010年介護のため帰浜後、地方自治体職員建康管理センターカウンセラーとしてメンタルヘルス相談と復職支援、障がい福祉課嘱託専門職として障がい者虐待防止専門相談ならびに精神保健福祉相談、障がい支援区分認定調査など、介護を終えた2012年より現在まで、主として産業カウンセリング領域における相談に従事。同時にメンタルヘルスや専門的対人援助に関する各種研修において研修講師も務める。

主な研究業績および活動
原著論文:『母親の喪失‐児童虐待の一症例から‐』日本精神分析学会『精神分析研究Vol.39 No.5』1995年11月
著書(分担執筆):『心理臨床家のための119冊』創元社 1992年4月
         『新こころの日曜日』法研 2004年1月
訳書(分担訳):I.D.Yalom『グループサイコセラピー 理論と実践』西村書店 2012年4月
学術振興会助成研究(科研基盤研究B):『家族介護力に依拠しない地域生活支援:ニュージーランド精神障害者地域生活支援調査』2009年度
日本心身医学会正会員

カウンセラー

原 香織

Hara, Kaori
公認心理師 登録番号:第33915号
上智大学大学院総合人間科学研究科臨床心理学専攻博士前期課程修了(2019年、修士:臨床心理学)
明治大学文学部心理社会学科卒業後、医療機関に勤務。2017年より当カウンセリングルーム研修生としてカウンセリングに従事するとともに、上智大学臨床心理相談室においても研修。女性のキャリアと生活、母子関係などを主な研究領域として研鑽を積む。学位論文は「子育てと仕事を両立する女性のワークライフバランスについての検討」。2019年3月上智大学大学院総合人間科学研究科臨床心理学専攻博士前期課程修了(修士:臨床心理学)。当カウンセリングルームでは、精神分析的心理療法を中心としつつ、来談者中心療法、発達障がいに起因する躓きをお持ちの方に対するカウンセリング、認知行動療法、各種心理テストなどを担当。

当カウンセリングルームが提供する支援およびサービス

心理療法・カウンセリングなど

山手カウンセリングルームは精神分析的カウンセリングを基盤としておりますが、その方の問題に合わせ来談者中心療法、コンサルテーション、適切な地域機関との連携やご紹介など、その方に最適な方法を考慮し、ご本人の同意を得たうえで面接を行います。

精神分析的(力動的)心理療法

精神分析的心理療法は、人が生来もち、また成長するなかで形成され、その人の行動や考え方を支配している無意識に着目し、それらの意識化を通じて、その人の行動に影響をあたえ、こころの苦しみや生きにくさの原因を、根本から解決してゆくことを目的としております。
無意的なこころの動きは、他者、特に自分にとって重要な他者とのかかわりの中で様々な想いや葛藤を生じさせ、そのことが抱えている問題や精神的な症状に影響を及ぼします。それゆえ、面接では、ご自身のこころのなかに浮かんだことを自由に語っていただくことを通じ、こころの中で起きていることを理解し、そこから自由になることを目標としています。
また面接においては、相談者の無意識的な葛藤はセラピストとの間においても、しばしば再現されることから、面接中の「いま、ここで」の関係性を大切にし、セラピストとの関係性のなかで、それらの修正や改善を図ります。

来談者中心療法

来談者中心療法では、一人ひとりが本来持っている自然に成長する力をもっていると考え、相談される方ご自身の自己実現をサポートすることを目的としています。それゆえ、それぞれの方の考えや生き方を尊重しつつ、自己実現のプロセスを支援することを目標としております。
来談者中心療法では、セラピストが指示したり、アドバイスや知識を提供したりするのではなく、クライエントの語りに寄り添うことを大切にします。

認知行動療法

認知行動療法では、抑うつや不安などの様々な精神的な症状を改善するために、環境と個人の認知や行動、感情などとの相互作用に着目し、問題となる認知の歪みや不適切な行動を修正していくための技法を用いて、カウンセリングを行っていきます。

パーソナリティーテスト

パーソナリティーテストでは、ご自身の性格にはどのような傾向があるのか、抱えている問題はどのように生じているのか等を検討することができます。テスト受けることによって、ご自分についてより深く知ることができたり、カウンセリングで何を行うか、もしくは、どのようなことをカウンセリングの目標とするかを考える助けとなることも少なくありません。

学術的・専門的支援

介護者支援、ターミナル・スピリチャルケア

主宰者自身、15年の介護経験者であり、また総合病院においてターミナルケアおよびスピリチュアルケア(生きるうえでの根源的意味の探求であり、宗教的・精神世界系のケアではありません。
WHOも、「健康とは身体的・精神的・霊的・社会的に良好な動的状態であり、単に病気あるいは虚弱でないことではない」と定義しています)についても、専門的な研修を5~6年受けておりますので、適宜ご相談に応じます。

受験指導

臨床心理学や社会福祉学での大学院入試指導においては、これまでに上智大学大学院に3名、ルーテル学院大学大学院に1名の合格実績がございます。 なお、お引き受けにあたりましては事前の面接と選考が必要です。

対人援助専門職への支援

対人専門職の方へのコンサルテーション、スーパービジョン(個人・グループ)、福祉・心理系国試対策などにつきましてもご相談に応じます。